9/27 ザ・ラストクイーン オペラ鑑賞
新国立劇場
日韓を 『 和 』 で結んだ深い愛の物語を、創作オペラ化した朝鮮王朝最後の皇太子 李 垠(り・ぎん) 妃 李 方子(り・まさこ)(梨本宮 方子 1901年~1989年)女史の生涯を通し、前後70年、日韓国交正常化50周年の歩みを、芸術的側面で鑑賞、平和への心を深めた。
戦前、韓国合併に伴う政略結婚で、日本の皇族から朝鮮王朝最後の皇太子に嫁いだ、故李方子女史の生涯を描いた創作オペラを、感無量の想いで、歴史の流れに今の平和、少々の問題はあるにせよ、過去よりは明るい日韓関係にホッとしつつ・・・未来への平和的進化を願いつつ・・・鑑賞した。
ほんの短い時間で、世界の帝国主義の流れ、韓国合併、世界大戦、関東大震災、敗戦、解放をモチーフの映像で見せ、歌われ・・・李女史は、夫の死後も韓国に残り、日韓両国のために尽くそうと、恵まれない子供達のための福祉活動に身を捧げる。そして、ついには、 『 韓国の母 』 とまで呼ばれるようになられる。
朝鮮王朝最後の皇太子妃、ラストクイーン、李方子女史は、87歳で死去、韓国民の涙で見送られ、その葬列は数キロにも及んで・・・。今も、韓国民に慕われている美しく悲しみを超越した創作オペラだった。
この作品は、日本と韓国の政治的狭間におかれながらも、 『 和 』 を求め一生を捧げた、李 方子妃をモデルとした世界初演のオペラで、李 方子妃を演じるのは、在日二世のソプラノ歌手、田 月仙さん。
田 月仙(チョン・ウォルソン)さんは、日韓国交正常化50周年を迎える記念として、構成から10年以上かけ、魂を込め、 『 和 』 を願う思いから創作した意義深いオペラだった。
この日、皇族の高円宮妃 久子殿下も、ご鑑賞なさったとの放送で、席は私の近くであると知り嬉しくなった。それが、退場の折、善き足の運びで、握手をかわす場となり、素晴らしかったですねと声をかけたところ、善き出来栄えでしたと、美しい微笑みでご応答下さり、より意義深さが増した。
その場を、同行した日韓関係ジャーナリストの記者が偶然にも写真に収め、送って下さり、この日の記念として、忘れられぬ戦後70周年、日韓国交正常化50年の印の1つとなった。
それは、2009年から京都賞授賞式(第25回から)に、毎年参加し、稲盛財団名誉総裁でいらっしゃる高円宮妃殿下のご挨拶を聞き、式の厳粛さ、かつ華やかさが内外に広がるのを感じ、皇室の特異の高貴さに触れた事と重なり、このオペラの重みも増して、平和への想いを培う日となった。
そして、過去の積み重ねにある今日の平和の日々と、与えられる全てに、感謝を捧げ、平和を願う心を強く感じる日となった。