社長  閔 南淑のブログ ・ 温エネルギー記

2013.06.12

ラファエロ展を鑑賞して

4月20日 西洋美術館

ありし日、ゲーテとの対話 エッカーマン著で、エッカーマンゲーテを訪ねるとゲーテラファエロの画集を見ていて、時間さえあれば見ては、 『 偉大なもの、自然への理解、純粋さへの浄化や汲み取り 』 をしている。を、読んで…。ああ…そうなんだと…思い、そのページを開いたまま目がとまり、釘づけになった。

そして、本屋にいきラファエロティツィアーノの画集を手に入れ、彼らが見て感じ、表現しようとした真理を多少とも得ようと、私も、時間さえあれば触れるようにし、2001年 イタリア・ルネサンス展ラファエロの理想の女性像ラ・ヴェラータ複写7個限定の中、1つを手に入れた。

当年事務所増築の折、彼の絵で着想を得、天井は円形窓はR形の事務所と会議室を作り彼が心に訪れる理想を描いたラ・ヴェラータを、私の理想とも重ね合わせ問うためにかけて、12年目、この度のラファエロ展に胸ときめきながら、海外で直接多くの絵を鑑賞していらっしゃる友人を誘って行った。

ラファエロ・サンツィオ(1483~1520年) レオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロと並び、イタリア・ルネサンス ( 人間性の復興 ) を代表する画家の中でも…

文豪ゲーテが18世紀後半の 『 イタリア紀行 』 で 『 彼は自然のごとく常に正しく、我々が自然において最も理解の不十分な点において、彼は、最も徹底的に理解している 』 と 魅力を分析した。…あるように…確かに…心身共健全で高次の精神を獲得できた才能に現れる、理想で純粋な偉大さを、その静けさの中に認められるのを感じ入る鑑賞になった。

それはやはり、先人達がその純粋さ、偉大さ、高次の精神の働きについて、書き残して下さったおかげで、多少でもその意味について触れ、見る私達も浄化に誘われ、同一の境地へ踏み込ませる働きには驚嘆せずにはいられない、澄んだものを感じ入るのだった。

それも日々、様々なできごとで荒波立つ現実の経営の合間に…。

『 ラファエロの後に残された我々にとって、さてなすべきことは彼が我々に手本として潰した良き方法、いやその最良の様式を真似ることである 』 と ジョルジョ・ヴァザーリは芸術家列伝で、その様式や品行を画家の模範とたたえた。

…ように、19世紀前半のアングル、革新派のマネルノワールなど名だたる画家たちが規範と仰いできたのがラファエロだ。その魅力を 『 中庸 』 であると、西洋美術館の渡辺晋輔主任研究員は挙げる。

『 ラファエロの表現は、作品の空間配置まで考え、人物の違いをきちんと描き分けて物語を伝える点で最も説得力があり、調和が取れていると。当時、尊重された古代の作品や理論を完全に消化し、新たなものの見方を提案した 』 と 説く。

確かに、彼の絵を見て触れる人は、誰でも 『 温和できれいだ 』 を 絵を知らない人でも感じさせる力が認められる。それが、才能の本質に興味がある人は、誰でも、この中庸の調和がどれ程難解であるかを知る故に、この方の崇高な精神性には計り知りえないものを感じるのだと、思えてならないと思うのである。

友人と共に言葉にならない彼への思いを寄せ、分ち合い…心軽やかに共有する喜びも増す話題の範囲を高揚する鑑賞の日となった。思考を16世紀の人間性復興に重ねつつ・・・。