社長  閔 南淑のブログ ・ 温エネルギー記

2015.05.11

5/3 大英博物館展 鑑賞

東京都美術館

大英博物館の100のモノが語る、世界の歴史展に足を運び、人類200万年に至る 『 傑作 』 たちに触れた。

人類の歴史、物作りの創造性、衝動が現した古き意欲の数々に心を寄せた。・・・今も変わらず人間のより良い物づくりへの本性、真・善・美への憧れを掴み取ろうと見入った鑑賞となった。それらのものたちは語る・・・覚醒され、行為の人々だけが出来る事を。

中でも、大英博物館のコレクションで、最古の物は、アフリカ東部タンザニアで200万年~180万年前に作られた道具 『 礫石器 』(れきせつき)に触れ、人間の知恵のスタートを見る思いがした。人類の道具作り自体は更に古く、250万年程前に始まっていたことがわかっていると。・・・これは、私たちのDNAに組まれている祖先の物語であると知り、嬉しくなった。

又、ソフォクレス( BC497~405頃 古代ギリシャ3大悲劇詩人 )の胸像に出会ったのは大きな喜びを想起した。これは、紀元前4世紀にギリシャで作られたものを、西暦150年頃ローマ時代に模刻したものだった。人間は、対象を模倣しながら新しいモノを創造する、人間の根源に触れる思いで見入る作品と思った。

私にとって一番印象深いモノは、神への 『  』 ( 100~300年作 )がかりだった。ブロンズの手は本物の手から鋳型を取ったと思われ。ここに刻まれた銘文は神( タラーブ・リアム )に好運を祈るもので、寄進した敬虔な信者の名が記されていると。アラビア半島南部イエメンの記念聖堂で守護神の加護を願って自分の右手を捧げる・・・と、記した人の名は彼もタラーブだった。

もう一つは、ロゼッタ・ストーンBC196年エジプト。世界で最も有名なエジプトの遺産の1つである。これは、19世紀に研究者達が古代エジプトの象形文字( ヒエロクルフ )を初めて解読することで、世界的に有名になった。ストーンには3種類の文字で刻まれ、上段にはエジプトの神官階級の象形文字( 聖刻文字・神聖文字 )、中段にはエジプト人の日常語デモティック、下段にはエジプト政府言語をギリシャ語で、同じ内容が書かれている。と。

私は、このロゼッタ・ストーンに、1987年大英博物館見学の折と、今回が2度目見触れる事となった。人間が文字を刻むという本姓に心を寄せ、それは、後世の子孫たちに道しるしを与える人間本来の姿であることを、認識させられるロゼッタ・ストーンだった。

全体像の見事な作品は、ペルシアを発祥の地とするミトラス教のミトラス神像だった。この教はローマ帝国に広まった。ミトラス神像は、100~200年頃のイタリア、ローマで作られた作品が360°完璧な形だった。若きミトラス神像は、永遠に若いままの姿のようだった。すなわち、一瞬は永遠の姿の1つである、ゲーテの言葉を重ね合わせ認識させられる、素晴らしい作品の1つだった。

面白い古い洪水の記録は、聖書の『 ノアの箱船 』より古い 『 洪水 』の記録があったことがメソポタミアの大洪水伝説を語る粘土板が、紀元前700年~前600年イラクで楔形文字で書かれ、古代アッシリアのアッシュールバニパル王の図書館跡から出土され、世界最古の偉大な文学作品『 ギルガメッシュ叙事詩 』 の一説が記されていると。

ウトナピシュティムという男が、神の警告を聞き、洪水が迫っているから船を建造して家族と 『 全ての生き物 』 を、救うようにと言われる。このエピソードは、旧約聖書のノアの箱船の話と酷似している。これが、1872年に翻訳され、大論争が巻き起こったと。現在では、他の多くの社会にも洪水の話が伝わっていること、そして、メソポタミアの場合は紀元前1700年頃に最初の文字で書き記され、聖書よりはるかに古い記録であったことが判明していると。本当に面白い記録で人類の原点を見る思いがした、嬉しい鑑賞の日となった。

 

5/3 午後   松山バレエ団 『 眠れる森の美女 』 鑑賞

文化村 オーチャードホール

人間精神の美しい極みを行為というバレエ芸術として表現する、高揚で高度な理念の基、身体の真善美を長い年月で研ぎ通し、自然さに到達させた動きは、人間の潜在能力に驚くばかりの鑑賞となった。

身体の能力を引き出す為、どれほどの 『 理念の覚醒 』 と 『 体に柔軟の技を覚えさせなくては 』、バレエのような動きは出来ないのかを思うと、人生の日々の努力はなくてはならない運命であると思い、私達に与えられたものを、誠実さと真剣さでするしかないと、思い知らされるバレエ鑑賞となった。

ああ・・・人生とは、各々の分野は違ってもそういうものと、理解を深める日となった。この10か月の間、身体づくりの為、また体操の代わりに、更に、人間の体の動きを見つめ理解を深めるためにも、バレエ稽古へ僅かに通ったおかげで、別の角度が気づくようになって、この日の鑑賞を嬉しく思った。