2012.7.23
坂東 玉三郎氏 明治大学文学部 特別講演会に参加して
歌舞伎界で 日本芸術の頂上を背負って 立女形での表と影 見せる・見せられる
奥深い 魂の働きについて 聞くチャンスに恵まれました。
私への影響 心と形 の印象の部分は・・・
『 見せる ・ 見せられる 』
男性が女性を見せる。 男性が女性的美を表現。 仕草と声で。
それを 見せる ・ 見せられる 意識を 長年の稽古で 究極にまで 達成させた方のみに
溢れ出る自然さで! 見せる ・ 見せられる とき ( 舞台 ) には 役に成りきり
役の人の役割に転じ 魂で思いを表現なさっていらっしゃるのでした。
この場面で確認できた思想は・・・
『 花が存在を現わしている。 存在が花を演じている 』 でした。
『 殺して 解放す 』
役を演じる折 さまざまな不都合の 失恋 ・ 妬み ・ 不幸・・・などの 場面を表現する巧みは
自分を滅し 死なして 高められた高次を解放なさると。
高められた高次とは 失恋 ・ 妬み ・ 不幸 など 生のリスクを転じさせ
人間として 究極的本性 真 ・ 善 ・ 美 の 生の表現を 本来の自己が経験すべきことを経験し
それをバネとして 人間性を高め 高貴な芸的技で 魂を解放する 自由な精神のことを申されました。
ここで私は エマーソンの 心の力が 自己を殺すのではなく 生かすことです を 思いだし 自分を生かして 無私の精神にすることを 触れたような想いでした。
『 陶酔と冷静 』
人間本性の 真 ・ 善 ・ 美 に 陶酔するのですが 陶酔しないように 自分を戒め 冷静に役を演じる。
それは 陶酔してしまえば溺れてしまうので。 その役柄の人物に成りきるのに 専念しているのです。
その折 一瞬 自分を脱していらっしゃると。
その脱している自分から もう一人の自分に 役を演じさせるようなものです と。
この場面で確認できた思想は
自分のことなど忘れて 公のため働く人に 一人でも会ってみたいものだ。(ゲーテ)
すなわち 仕事や役割の折 人は自分のことに捉われ 本来の自己の本性に備わっている
真 ・ 善 ・ 美 の自分を表現できず 身勝手 ( 高次の心より身が勝つ状態 ) ・ 利己 ・ 愚鈍 に陥って
私的自己に捉われ 役割の本題より優先させてしまうのは凡人ですが 自己を高次へ高め
成功を治めていらっしゃる方々に現れる 特香な人間性が この陶酔と冷静で感じ取れました。
子供の頃から 朝から晩まで 稽古 芸 が日常生活に規則化し・・・
それが 全体に体現され 歩かれる時も お話しなさる時も 静けさの中 自他の魂に
真 ・ 善 ・ 美 を思い起こせる雰囲気を 醸し出していらっしゃいました。
『 人を育てる 』
ただ見てあげるだけでも育つのです。見られていることで気づくのですと。
ここで重ねられた思想は
何事が生じても 自分の経験の一つとして これを受け入れる。
魂は 行う者であるより 見守る者であり 行う者となるのは
一層よく見守るためである。 エマーソン 自然について 観念論より
『 心と形 』
子供の頃から 稽古 稽古 ・・・ 芸が規則化し 日常生活そのものが 端正に高められるまで
覚えて 記憶する日々が そのまま普通の状態に現れ 身なりの心魂は
美しい形を あらわしていらっしゃるのでした。
それは 稽古 稽古 ・・・ をするうち 体が覚え 繋ぐ意味ですと。
繋いで上昇させ 一つの典型を作り出す技の世界。
稽古を 意識 覚え 記憶したものを 繋いで創造し形 ( 典型 ) を転じさせる。
それが 自・他・国のためになり 存在そのものが財産のような 形を見せていらっしゃるのを
見る想いでした。
見る人々は息を飲み 日本最高美の象徴である歌舞伎 女形の 坂東玉三郎氏に
7月20日 人間国宝認定が発表され 3日目でもあり 日本国の重要無形文化財保有者になるまでの
人間なりの宝物を見せられ 聞かせて頂く講演会の参加になりました。
私は 上品な人間形成を目指し 20代の来日間もない頃 礼節を得るため お茶を習い
その静けさの行為で 物事を 秩序に沿って表現する 日本魂の美を学び 日常生活で生かしてはいるものの なかなか上品な立ち振る舞いが出来ず 悩みがあったのですが。
昨年この方が 人間国宝になるまでの立ち振る舞いを 京都賞授賞式参加で触れ 魂を揺さぶられ・・・
心奥で それがどこから来るものなのかを 問いていたのでした。
この日 その原因が多少掴み取られ 私の立ち振る舞いに 戒められる場面を
いくつか 得ることが出来ました。幸運にも・・・。
この方を通して 重ね合わせた確認の思想
★ 死してなる:低次の自我を滅し 高次の真理になる。
★ より高き灯の反照を認めるなら いかなる幸運も君らから奪うまい
神の座を 朝ごとに讃える技を。 それにこそ 我らの生の玉璽(ギョクジ)がある。 ※玉璽=天子の印
我らと天使らのための 清い神の鏡が
そして 口ごもりつつ 至高の存在を頌えるものは
輪に輪を重ね かしこに集う。 (ゲーテ 西東詩集 パルゼ人の書)
★動物達は その機関によって 教えられるのだと 古代の人達は言っています。
私はそれに付け加えたいのです。 人間も同じであると。 しかも その機関を 再び教えるという長所をもっていることを。どんな行動 どんな才能にも 生まれながらに与えられたものが 要求されるのです。
最高の天才とは 全てを受け入れ 全てを自分のものにしながら 自分自身の根本的な運命 つまり 性格と呼ばれるものに すこしの損害も与えず むしろ それを一層高揚し 出来るかぎりの能力を与えるという天才です。 ここで 自覚をもったものと 無意識なものとの間に いろいろな関係が入ってくるのです。
・・・人間の機関は練習 学説 思考 成功 失敗 要求 反対 それにくりかえし思考することで 無意識に自由な活動の中から 得たものを 天賦なものと結びつけ 世界を驚嘆させるような 偉大な統一体をもたらすものです。 ゲーテが83歳の最後に 『ファウスト』 について述べた文
1832年3月17日 文学に対しての 『 仕事とその段階 』について フンボルトの質問に答えている手紙
★孔子様の人間完成は
知識 仁徳 礼節 壮麗さ それに 立ち振る舞いで 人間完成へ
★『 疑い 』は 美の装い かぐわしい 天にとぶ鴉 シェイクスピア ソネット 70番
坂東玉三郎氏に 重要無形文化財保有者 人間国宝になられる要因に 上記の思想が体現なされていらっしゃることを自分の目で確認できる 記念日となり この方を祝う日にもなりました。 有難いことに・・・・・・。